災害で子どもと離れているときに備え、連絡手段、集合場所、学校や学童からの引き渡しを家族で決める方法を紹介します。
災害が起きたとき、子どもが学校にいて保護者は職場、というように家族が別々の場所にいることがあります。電話がつながらないときも子どもが一人で判断して動き回らなくてすむように、「まず安全な場所にいる」「誰から連絡する」「どこで待つ」を家族と学校・預け先で確認しておきましょう。
この記事の目次
最初に決めるのは「連絡」より安全な待ち方
離れている家族とすぐ連絡を取りたくなりますが、災害の最中は、子どもに保護者のもとへ歩いて来させることが安全とは限りません。道路の損傷、火災、浸水、余震など、移動中に別の危険に遭う可能性があります。まずいる場所で安全を確保し、学校・学童・施設や自治体の案内に従う約束を、家族で共有してください。
消防庁は、家族が離れているときに備えて、落ち合う場所、遠方に住む親戚・知人を通じた安否確認、災害用伝言ダイヤル171の活用を平時に決めておくよう案内しています。集合場所や連絡の中継先は、家族全員が分かる言葉で書き、子どもにも「連絡がつかなくても、勝手に探しに行かない」と伝えます。
家庭の約束は、学校や預け先の手順より優先されるものではありません。学校が待機・引き渡し・集団下校を判断する場合があるため、家族内だけで「地震ならすぐ帰宅」と決めないようにしましょう。
子どもは安全な場所で待つ。迎えや移動は、大人と学校の決めた手順で行う
連絡手段は、使う順番と代わりの方法を決める
「電話で連絡する」だけでは、回線が混み合ったり、端末の電池が切れたりしたときに次の行動が分かりません。家族が普段使う連絡手段に加え、災害用伝言ダイヤル171や災害用伝言板web171、遠方の親戚・知人を中継する方法を候補にして、どれを誰が使うか決めておきます。家族で同じ電話番号を伝言の検索先に使うなど、手順が複雑にならない形を選びましょう。
171は災害時に提供される音声の伝言サービスです。録音は「171」から音声案内に従い、連絡を取りたい被災地の電話番号を入力して行います。1件30秒以内で、利用開始や提供条件は災害の状況に応じて設定されます。web171はインターネットを使う伝言板です。どちらも通信環境が必要なので、これだけに頼らず、現地の安全な待機先や紙の連絡先も合わせて決めてください。
伝言は「名前」「無事かどうか」「今いる場所(施設名など)」「次にどうするか」を短く伝える練習をしておくと、限られた時間でも要点を残しやすくなります。子どもが自分の端末を持っていない場合は、無理に使わせず、大人や施設の担当者に伝言を頼む方法を決めましょう。
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| 方法 | 事前に決めておくこと | 気をつけたい限界 |
|---|---|---|
| 普段の電話・メッセージ | 最初に試す相手と、返事がないとき次に使う手段 | 通信障害、混雑、電池切れで使えないことがある |
| 171・web171 | 登録・確認に使う電話番号、誰が伝言を確認するか | 災害時に提供され、利用条件は状況で変わる。通信環境も必要 |
| 遠方の親戚・知人 | 家族全員が連絡先を知っているか、伝言を誰に渡すか | その人も被災したり、連絡を受けられなかったりする可能性がある |
| 紙のカード | 保護者や学校など必要な連絡先、カードの保管場所 | 紛失や情報の古さに備え、記載情報と更新日を見直す |
通信サービスの提供状況・操作・利用条件は変わることがあります。災害時はNTTや各通信事業者の最新案内を確認してください。
集合場所は「いつ・誰が・どこへ」をセットで決める
「いつもの公園に集合」だけでは、災害の種類や時間帯によっては危険な場所へ向かうことになります。自宅周辺と学校・習い事周辺など、家族が別々にいる場所を挙げ、それぞれについて安全な待機場所、そこへ向かう人、移動を始める条件を確認してください。集合先に行くのは、道路や地域の安全が確認できた大人に限るといった役割分担も必要です。
避難所は、いつでも開設されているとは限らず、災害の種類によって適切な場所が異なります。学校が避難先になる家庭もありますが、「学校に行けば子どもに会える」とは限りません。自治体のハザードマップや避難情報、施設の案内で、災害別の避難先と利用方法を確認しましょう。
子どもには、住所を細かく暗記させるよりも、いる施設の名前、担当の大人、困ったときに伝える一言を練習します。連絡がつかないときは、事前に決めた場所で待ち、約束していない人の車に乗らない、知らない場所へ一人で移動しない、と具体的に話すと行動に結びつきます。
学校・学童・習い事の引き渡し手順を確認する
子どもが学校や学童、保育施設、習い事にいる時間のルールは、施設ごとに異なります。保護者への引き渡しを行う条件、引き取りに行ける人の登録、連絡が取れない場合の待機場所、集団下校の有無を、配布資料や施設への問い合わせで確かめてください。引き渡し場所が変わる場合や、交通機関が止まった場合の案内方法も見ておきます。
保護者がすぐに迎えに行けるとは限りません。迎えに行く人を複数登録できるか、迎えに来られない場合に子どもがどこで待つのか、施設へ正確に伝わっているかを確認します。子どもだけで帰宅させる判断や、保護者の確認なしに引き渡す対応を家庭独自に決めず、施設のルールを優先してください。
文部科学省の学校防災資料では、学校の状況に応じた待機や保護者への引き渡しの手順づくりが取り上げられています。資料は各学校の現在の対応を示すものではないため、実際の連絡先や引き渡し方法は通っている学校・施設に確認するのが確実です。
- 引き渡しの対象となる災害と、子どもの待機場所を確認した
- 迎えに行ける人の登録と、本人確認の方法を確認した
- 保護者へ連絡がつかないときの対応を確認した
- 休校・休園や下校後の習い事先でのルールも整理した
- 転居、進級、勤務先変更の後に登録情報を更新した
子どもに伝える言葉を短くして、平時に試す
子どもが覚える約束は、年齢や理解度に合わせて絞ります。幼児や低学年なら「先生のそばにいる」「勝手に移動しない」「困ったら近くの大人に伝える」など、すぐできる行動から始めます。自分で端末を扱える子には、保護者への連絡、171・web171の使い方、端末の電池が少ないときの対応も段階的に加えます。
練習では、怖い映像を見せる必要はありません。家族で連絡先カードの場所を確認する、171の体験利用日に大人と操作を試す、学校からのお知らせを一緒に読むなど、落ち着いた場面でできることから始めます。子どもが不安になったら、そこで区切り、「大人が迎え方を考える」「一人で探し回らなくてよい」と伝えてください。
連絡先カードには、緊急時に必要な電話番号や施設の連絡先など最小限の情報を記載し、誰でも見られる場所に広く掲示しないようにします。氏名や住所、学校名などを書き込む場合は、持ち歩く必要性と紛失時のリスクを考え、保管場所・見直し日・古いカードの処分方法を家庭で決めてください。
子どもに覚えさせるのは、家族を探す方法ではなく、安全に待ち、大人へ伝える方法
家庭で確認する手順
- 01学校・学童・習い事先の引き渡しと待機のルールを確認する
- 02家族が別々にいる場所を挙げ、安全な待機先と集合候補を決める
- 03普段の連絡ができない場合に使う伝言方法と遠方の中継先を選ぶ
- 04子ども用の約束と緊急連絡先を、年齢や理解度に合わせて整理する
- 05伝言サービスやカードを一緒に試し、進級・転居・連絡先変更時に見直す
よくある質問
- 災害時、子どもに親の職場まで来てもらう約束にしてもよいですか?
- 災害直後の移動には、道路の損傷や火災、浸水などの危険があります。子どもに一人で迎えに来させず、学校・施設の待機や引き渡しルールを確認し、安全が確かめられた大人が迎えに行く手順を決めてください。
- 家族の集合場所は一か所でよいですか?
- 家族がいる場所や災害の種類によって安全な場所は変わります。自宅周辺、学校周辺など場面ごとに待機先・集合候補を整理し、どのような条件で誰が向かうかを決めましょう。自治体や施設の案内を優先してください。
- 災害用伝言ダイヤル171は、子どもだけでも使えますか?
- 操作を覚えていれば使える場合がありますが、年齢や端末、通信状況によって難しいこともあります。大人と一緒に体験利用で練習し、子どもだけに頼らず、施設の担当者や周囲の大人へ伝言を頼む方法も決めておきましょう。提供条件は災害ごとに異なります。
- 保護者と連絡が取れない場合、子どもは誰について行けばよいですか?
- 学校や預け先の担当者の指示に従い、家庭で決めた迎えの人以外の車に乗ったり、知らない場所へ移動したりしない約束にします。登録済みの迎えの人、本人確認の方法、連絡がつかない場合の待機場所を、施設と事前に確認してください。