子どもの連れ去りを防ぐために、誘いを断る・距離を取る・人のいる場所へ逃げる・大人に知らせる行動を家庭で確認します。
子どもの連れ去りを防ぐには、「知らない人について行かない」と伝えるだけでなく、予定にない誘いを受けたときにどう動くかを一緒に決めておくことが大切です。相手を見た目だけで判断させるのではなく、迷ったら断る、車に近づかない、その場を離れて人のいる場所へ行く、信頼できる大人に知らせる、という行動を短く練習しましょう。子どもだけに安全を任せず、保護者・学校・地域で支える準備も必要です。
この記事の目次
「知らない人に注意」だけでなく、困ったときの行動を決める
子どもに「知らない人には気をつけて」と伝えても、顔を知っている人から声をかけられたときや、急いでいるときにどうするかは分かりません。相手の年齢や服装、知っているかどうかで危険を見分けるのではなく、「予定にない場所へ誘われた」「車に乗るよう言われた」「少しでも嫌だ、変だと感じた」という状況を手がかりにします。
警察庁の子ども向け資料は、道路、公園、駐車場、集合住宅の共用部など、子どもだけになりやすい場所を家族で考え、誘いを断る・逃げる・近くの大人に助けを求める対応を紹介しています。家庭では、子どもが一人で通ることのある道や、習い事の行き帰りなどから一場面を選んで確認しましょう。
防犯の約束は、危険な人を子どもだけで見抜くためのものではありません。相手が誰であっても、予定にない誘いはその場で受けず、家族や決めた大人に確認してよいと伝えてください。
迷ったら、その場で返事を決めず、離れてから信頼できる大人に確認する
断る言葉は短くし、返事を続けずに距離を取る
声をかけられたときの言葉は、子どもが言いやすいものを一つか二つ決めます。「行きません」「家の人に聞きます」「ここで待ちます」など、短くて構いません。理由を説明したり、相手を納得させたりする必要はありません。返事ができなくても、その場を離れてよいことを伝えます。
「送ってあげる」「お菓子をあげる」「家族が呼んでいる」などと言われても、予定と違う誘いには応じず、車に近づいたり乗ったりしない約束にします。迎えを頼む人が変わるときは、子どもがその場で判断しないよう、保護者から事前に連絡する方法を決めておきましょう。
親子の練習では、実際に追いかけたり、腕をつかんだり、突然驚かせたりする必要はありません。保護者が落ち着いて場面を読み上げ、子どもが断る言葉を選び、人のいる方向へ移動する流れを確かめます。
逃げる先を、通学路や生活範囲で一緒に確認する
「すぐ逃げて」と伝えるだけでは、子どもがどこへ向かえばよいか迷うことがあります。通学路、習い事の道、公園からの帰り道などを一緒に歩き、営業中の店、交番、学校、地域で案内されている子ども110番の家など、助けを求められる場所を確認しましょう。入口が分かるか、子どもが一人で入れるか、通る時間帯に利用できるかも見ます。
子ども110番の家は、助けを求めた子どもを一時的に保護し、必要に応じて警察・学校・家庭へ連絡する地域の活動です。ただし、協力先や利用できる時間は地域や施設によって異なります。一か所だけに頼らず、閉まっているときに向かう別の店や交番も考えておくと、行動を選びやすくなります。
子どもには「この看板を探し続ける」より、「近くの人がいる店や施設へ入って助けを頼む」と伝えます。地図や場所をインターネット上へ公開すると、自宅や通学路が分かる場合があるため、共有先は家族や学校など必要な範囲に限ってください。
- 子どもが実際に通る道にある助けを求められる場所を確認した
- 看板だけでなく、入口や利用しやすさも一緒に見た
- 閉まっている場合の別の行き先を決めた
- 地域や学校の案内に変更がないか確認する方法を決めた
声が出ないときの方法も用意しておく
「大声を出す」は、必ず大きな声が出せるかを試すことではありません。怖くて声が出ない子もいます。防犯ブザーを鳴らす、近くの店員や大人のそばへ行く、店に入って「助けてください」と伝えるなど、子どもが使えそうな方法を複数確認してください。
防犯ブザーを持たせる場合は、ランドセルやバッグにつけた状態で手が届くか、鳴らし方が分かるか、音が出るかを定期的に確かめます。ブザーを鳴らした後にどこへ行くか、誰に助けを求めるかまで練習しておくと、道具を持つだけで終わりません。
練習は短く、一度に一つの場面で十分です。子どもが嫌がったり不安そうにしたりしたら中断し、絵に描く、実際の場所を歩くなど、負担の少ない方法に変えましょう。
声が出ないときの代わりに、ブザー・店・近くの大人を使う方法も決めておく
もし困ったことが起きたら、まず安全を確保する
子どもが声をかけられたり、つきまとわれたり、連れて行かれそうになったりしたと聞いたら、まず今いる場所と安全を確認します。相手が近くにいる、危険が続いている、犯罪が起きた、けがをしたなど緊急の対応が必要な場合は、周囲の大人に助けを求め、警察への110番通報につなげてください。けががあるときは119番も必要です。
警視庁の「子供110番の家」活動マニュアルでは、110番で何があったか、いつ・どこで起きたか、相手や車の特徴、今も近くにいるかなどを伝える流れを案内しています。子どもが覚えていることを無理に聞き出す必要はありません。まず安全な場所で落ち着かせ、分かる範囲の情報を大人が伝えます。
帰宅後に話してくれたときは、「なぜついて行ったの」「どうして大声を出さなかったの」と責めないでください。怖くて動けなかったり、約束を思い出せなかったりすることもあります。話してくれたことを受け止め、必要に応じて学校や警察に相談し、次に頼れる場所や連絡方法を大人が見直します。
家庭・学校・地域で、子どもだけに任せない備えをする
防犯の約束を守れたかどうかだけで、安全を判断することはできません。保護者は、一人になる時間や場所、迎えの人が変わるときの連絡、帰宅後に相談できる時間を整えます。学校や習い事先とも、欠席・下校時刻・迎えの変更を誰からどの方法で伝えるかを共有しておきましょう。
通学路の工事、習い事の開始、学年の進級、協力先の閉店などがあったら、子どもと決めたルートや助けを求める場所を見直します。毎日見守ることが難しい場合も、学校や自治体、警察が案内する見守り活動や相談先を確認できます。
家庭で最初にできるのは、短い約束を一つ決めて、子どもと一度話してみることです。「予定にない誘いはその場で受けず、離れてから家の人に確認する」と伝え、実際の道で助けを求める場所を見てみましょう。
家庭で確認する手順
- 01子どもが一人になることのある場所や時間を、家庭で一つ選ぶ
- 02予定にない誘いへの短い断り方と、離れる方向を決める
- 03車に近づかない・乗らないこと、迎えの変更を確認する方法を約束する
- 04通る道で子ども110番の家、店、交番など助けを求める場所を確認する
- 05声が出ない場合のブザーや近くの大人への頼り方も練習する
- 06生活や地域が変わったときに、ルートと連絡方法を見直す
よくある質問
- 「知らない人について行かない」と教えれば十分ですか?
- それだけでは、知っている人からの予定にない誘いや、相手を見分けにくい場面で迷うことがあります。相手の見た目ではなく、予定にない移動や誘いはその場で受けず、離れて大人に確認する約束も伝えましょう。
- 子どもが声をかけられたとき、大声を出せなかったらどうしますか?
- 大声だけを唯一の方法にしないでください。防犯ブザーを鳴らす、人のいる店や施設へ入る、近くの大人に「助けてください」と伝えるなど、その子が使いやすい方法を一緒に決めます。
- 親が不審者役になって練習した方がよいですか?
- 追いかけたり、つかんだり、驚かせたりする練習は必要ありません。落ち着いた声で場面を読み上げ、断る言葉と逃げる先を一緒に確認するだけでも練習になります。子どもが嫌がったら中断しましょう。
- 知っている人から誘われた場合も断るようにしますか?
- 相手の人柄だけで危険かどうかを判断させる必要はありません。事前に家族が決めた予定と違う誘いや移動は、その場で受けず、家族へ確認してよいと伝えます。
- 子どもが困ったことを後から話したら、どうすればよいですか?
- まず現在の安全とけがの有無を確認し、話してくれたことを受け止めます。危険が続いている、犯罪が起きた、けがをした場合は、警察や救急への通報を含めて大人が対応します。必要に応じて学校や警察にも相談してください。