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【参加報告】「こどもがつくるまち」全国主催者サミット’12 in 千葉の基調講演公開

まち

全国主催者サミット’12 in 千葉

こどものまちの10年 〜NEXT10に向けて〜

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子ども安全まちづくりパートナーズ理事、木下勇が実行委員長を務める「こどもがつくるまち 全国主催者サミット」が2012年10月8日に開催されました。

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パートナーズも子どものためのまちづくり(こちらはリアルなまちづくりです)を応援する団体として、紹介パネルを会場に展示をしました。また、木下が基調講演を行いました。そこで、「こどものまち」について概説するとともに、基調講演の内容を公開します。

 

「こどものまち」とは?

  • こどものまちは、ドイツの「ミニ・ミュンヘン」をルーツとしています。こどものまちは数日間の架空のまち。そして、すべてを子どもたち自身が考え、行動し、創り上げて行くまちです。大人は子どもに求められたら助言をするだけ。あとはじっと見守ります。
  • こどものまちは事前準備(都市計画)から始まります。子どもスタッフを中心に、こどものまちの企画を練ります。商業施設、公共施設、道路、その他インフラを整備し、職場を用意します。
  • いよいよ当日になると、大勢の市民(子ども参加者)がやってきます。市民はまず住民登録を行い、次に職業紹介所(ハローワーク)に行って仕事を探します。なぜなら、仕事をしてお金を稼がないと、まちで買い物ができないのです。
  • 働けば税金を支払います。税金は公共機関(市役所、警察など)の運営資金となります。選挙管理委員会をおき、多くの所では市長選挙や市議会選挙を行っています。
  • このように、こどものまちは単なる「お店屋さんごっこ」ではなく、リアルなまちの縮図のように子どもだけで運営するまちなのです。子どもたちは遊びを通して、社会の仕組みを知らず知らずのうちに学んでいるのです。

 

基調講演(木下勇 千葉大学教授 子ども安全まちづくりパートナーズ理事)

ドイツのこどものまち「ミニ・ミュンヘン」との出会い

  1. ドイツでは「遊びのまち」と言っておりますが、私自身がこどものまちに出会ったのは1980年の時です。ミュンヘンではNPOがプレイバスを使った移動式の遊び場のプログラムの1つでした。原っぱに出て行ってパタパタとまちをつくり、商店街や子ども銀行を建てる、いわばお店屋さんごっこの大きくなったようなものでした。このような移動式の遊びのなかに「サーカス遊び」というものもあります。活動を始めたきっかけは、学生運動の時にまわりは石を投げているけれども、我々は絵筆をもって子どもたちのために遊びの活動をしようと、それで68年に移動式の遊び場を始めたそうです。このように、遊び場はやってくるものだと。サーカス小屋やメリーゴーランドが来たり、メリーゴーランドのことをドイツ語でカルーセルと言うように彼らは移動式の遊び場のことを「カルーセル」と呼びます。郊外に倉庫があって、トラックやバスも10台ぐらい保有して、それでサーカスや遊びのまちを積み込んで出かけて行きます。

 

  1. この遊びのまちが大きく展開されたのが、1979年の国際児童年の時です。ミュンヘンでは大きな倉庫を借りて、大仕掛けのミニ・ミュンヘンが開かれたのが最初です。期間は5週間、相当な数の子どもが参加しました。例えば、石屋さん。これはプロフェッショナルの職人さんが手伝ってくれています。このように各ブースでプロにお手伝いして貰いながらまちができました。このときに、大人がしかけてまちが建っていきますが、市役所の職員や市長もみんな子どもです。まちがスラム状になったところに都市計画道路を造ると計画を立てて、住民の反対運動が起きるなど、リアルのまちと同じような現象が起こります。そして、こども議員が実際の政治家と対談したり、その模様がテレビ局に取材されたり。これは国際児童年の催しだったのですが、またやって欲しいという要望が高く、1984年の国際青年年にもう一度行いました。さらに、子どもたちは市長にまた開催して欲しいと手紙を書きました。しかし、スタッフが大変なので、1986年から2年ごとの開催となりました。

 

2012年のミニ・ミュンヘンのレポート

  1. 遊びのまちでは、いろいろな出来事が起こってきます。選挙も1週間に1回行われます。これは、今年のミニ・ミュンヘンの動画です。今年の市長のアンドレア君(15歳)です。今年の問題はなにかとインタビューしたら、「失業問題」だそうです。働きたい人がたくさんいて、仕事がない。どこでも共通の課題ですね。選挙の時に候補者がでて、彼も再選を目指して頑張ります。これは投票の用紙です。市長と副市長を選ぶもので、9人の候補者がいます。年齢も様々です。そして、みんなが見ている前で開票します。結果、アンドレア君が市長に再選されました。

 

  1. 子どもたちはお金が貯まってきたら、外に土地を買って住宅を建てる事ができます。住宅地の計画案も市民から公募してコンペをしています。ドイツでは地区計画と言いますが、建築基準法にあたる建設法典も子どもたちが作り、それに沿って高さや隣との間隔を決めて、子どもたちが設計したり建築したりします。その建築確認を都市計画局の職員(子ども)がします。これを手伝っているのが、この若い女性建築家です。彼女自身もミニ・ミュンヘンに遊びに来ていて将来の夢を見つけ、子ども関係の建築家として頑張っています。

 

  1. 住宅地をつくっているサンメル君(13歳)にインタビューした動画です。一緒に家を建てている仲間を紹介してくれました。一人では土地を買うお金が足りないので、5,6人の仲間を募り、お金を集めて建てています。材料も買います。とても得意気ですね。こういう達成感があります。ベンチも手作りです。ちょっとガタガタしているけれど、ちゃんと座れるしとてもイイよと言っています。これにもお金が必要だと言っています。タクシーにも乗れるよと「タクシー」と呼んでいます。みんな喜んでいるし、ミニ・ミュンヘンは良いところだから、ぜひ来てくださいと言っています。

 

ミュンヘン市の子どもの参画事業

  1. 最初に紹介したプレイバスの集団が、今は合計4つほどのグループに分かれています。当初の仲間は10人ぐらいでしたが、それが4団体に分岐しそれぞれの団体が10人ぐらいのスタッフをかかえて生計を立てています。お互いケンカ別れというわけではなく、歳を重ねていくと方向性が違って分かれていきます。博物館の活動を中心にするグループとか、遊びこそが教育だと言うことで文化と遊びを展開しているグループなどです。議員や市の職員などになったメンバーもいます。その中で、子どもたちとロビー活動、要するに子どもたちと一緒に政治を変えるという活動をしています。そこで2000年に議論してきた結果、ミュンヘン市の政策10年の基本構想は「ミュンヘンで遊ぼう」とか、「子ども家族にやさしいミュンヘン」、そのような方向性が出され、指標もみんなで議論して展開しています。子どもの参画もそのような展開です。それからミュンヘンでは様々な市民フォーラムが盛んです。子どもフォーラムも開かれますし、色々な団体が様々な活動を行っています。行政の青少年課の係の仕事を示した図ですが、黄色は行政のみの事業、赤はNPOに任せている事業、橙は協働で行っている事業、このように市の公共の事業を民間に任せたり協働でやったりしています。2006年に市川でドイツから青少年課の職員が来て講演をしました。その時の青少年局長は補完性の原理と言っていました。小さいものができることを大きいものが邪魔をしてはいけない。できないことを補完する、そういう原理は中世のころからあるのですが、NPOが作りあげていることを行政が取り上げるのではなくて、NPOに任せて足らないところを行政が補完していく。だからドイツではNPOが育っているのです。ミニ・ミュンヘンもそのようにして、予算が2000万円かかるところを、4割は行政の補助です。このように、補完性の原理が市民活動や子どもの活動を支えています。

 

  1. ミニ・ミュンヘンは子どもの参画を進め、ユニセフの子どもに優しいまちのグッド・プラクティスの評価を得ています。この活動の一環で子どもが審査員となる子どもに優しいコンテストが行われています。「子どもに優しいレストラン、子どもに優しい住宅地などがあります。その中で、子どもに優しいミュンヘン市民」というものがあります。「我こそは子どもに優しい」という大人が書類を書いて応募します。書類審査を通った人に、子どもたちがインタビューをしに行き、最終選考が行われます。選ばれた大人は得意気にグラビアに出ています。このような事もミュンヘンは行っています。

 

  1. ドイツにはミニ・ミュンヘン以外にも色々な形の遊びのまちがあります。冒険遊び場が遊びのまちとなり一年中開催されているものや、ベルリン、ローゼンハイムでも行われています。

 

 日本におけるあそびのまちの展開

  1. 日本では活動の担い手や場所も地域によって様々です。ドームで行ったり住宅で行ったり、商店街で行ったりしています。私は息子が小さい頃にミニ佐倉に行きました。昼時で焼きそばが食べたくても大人である自分は買えない。子どもに稼いでもらって焼きそばを買ってもらいました。「お父さん、何が欲しい?」と子どもが得意気に言います。立場が逆転するおもしろさを感じました。このように佐倉は商店街を、市川は公園を使いながら行われています。どこでもかかえている大人の干渉をどう阻止するか、ミニヨコハマでは、×印がついたマスクを大人がつけるといった工夫をしています。

 

  1. 関心事も、それぞれの地域によって違います。子どもの参画であったり、まちづくりや遊びそのものだったり、自治だったり、職業教育であったり色々です。多様な切り口や関心からのアプローチがあるなと感じます。また、みんな悩んでいるのは大人の役割、子どもの参画です。遊びのプロ、プレイワーカーと総称しても良いかも知れませんが、そのような立場の人は作り込んでいかに面白い体験を子どもたちにしてもらうかに知恵や技術を発揮しています。そのような立場と、子どもの参画を大事に展開するところで議論がありました。このあたりも今日のサミットで議論になるところだと思います。

 

  1. それから、子どもにとってどういう意味があるか。これは自信と力の回復、おもしろさ、この中で主体性が出てくるというとこが議論されています。それから、これから10年間の展望を日本の中で見たときに、実社会と交錯すること。例えば市川では議会を子どもが訪問するなどの取組がされています。千葉はどちらかと言えば後発ですが、行政の施策と絡めながら、子どもたちが行政に関わる仕組みを行政の職員側が企画し用意して、行政への子どもの参画が進んでいます。

 

  1. とさっこタウンでは、運営資金の獲得で工夫しています。行政に依存していては長続きしないので、弁当を企画販売して売り上げの50円を資金にするなど、自立して展開していく工夫や、それぞれのブースに専門家が関わるというミニ・ミュンヘンのようなしかけもしています。ユニークかつローカルな文化を大事にしており、注目されます。

 

  1. こどものまちを作るとき、子どものためにやっているのかどうか準備段階で議論されました。子どものためにやっているのではない。実際にまちを子どもたちと楽しく作っていきたい、そのような議論もありました。昔は大人、子どもが一体だったまち。それが失われてきたので、こどものまちはそれを補完する役割を果たしているのではないかと実行委員会の議論がありました。子どもたちは未来の市民ではなく、今の市民である。だから一緒に今のまちをつくっていくパートナーだと思います

ウィンの希望のものがたり

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