事業内容・実績の詳細
防災アートプログラム「キツネをさがせin陸前高田」を共催
8月9日に津波からの「逃げ地図」を活用した子ども向けの防災アートプログラム「キツネをさがせin陸前高田」が陸前高田市広田町の広田小学校とその周辺地区で開催され、子ども安全まちづくりパートナーズが地元各種団体と連携して共催しました。
日時 | 2015(平成27)年8月9日(日)12:30〜15:30 |
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場所 | 岩手県陸前高田市広田町の広田小学校周辺地域 |
参加者 | 地元広田町の小中高生、中央大学、法政大学、東北大学、北海道看護大学、明治大学の大学生など約70名 |
主催 | ツママレプロジェクトin陸前高田実行委員会(実行委員長:森脇環帆) |
共催 | ファクター宮、旧広田水産高校仮設住宅自治会、広田地区集団移転協議会、一般社団法人子ども安全まちづくりパートナーズ |
後援 | 陸前高田市広田地区コミュニティ推進協議会、明治大学震災復興支援センター |
協力 | 広田小学校、広田保育園、高田東中学校、NPO法人パクト、明治大学都市計画研究室、陸前高田地域再生支援研究プロジェクト |
掲載記事 |
東海新報 2015(平成27年)8月7日 「『逃げ地図』を活用 9日に防災アートイベント」 岩手日報 2015(平成27年)8月8日 「避難経路 楽しく学ぼう」 岩手日報 2015(平成27年)8月10日 「『キツネ』探して避難経路確認」 東海新報 2015(平成27年)8月11日 「キツネを追い防災学習 広田町でアートイベント」 |
防災アートプログラム「キツネをさがせin陸前高田」は、まちで遊ぶことが防災につながるとの考えに基づき、子どもの興味をひくアートを用い、楽しく防災学習できるプログラムです。今回は地元住民が作成した津波からの逃げ地図をベースにし、子ども安全まちづくりパートナーズが開発した「まちの安全点検マップ」のワークシートやシールを使って子どもの安全を考えるマップづくりもアートの要素を加味して同時に開催されました。
約70名の参加者は「避難路を散策する体験型プログラム」と「避難経路の安全マップを作成する創作型プログラム」にそれぞれ分かれて3時間程度のプログラムに参加し、終了後アンケートに答えました。
子ども安全まちづくりパートナーズからは、研究員の森脇環帆が「ツママレプロジェクトin陸前高田実行委員会」の実行委員長になり、代表理事の山本俊哉が安全マップ作成の講師として参加し、明治大学山本研究室の学生達がスタッフとして準備運営にあたりました。
「避難路を散策する体験型プログラム」
避難路を散策するプログラムは、二つのコースに分かれ、アーティストの森脇環帆が扮した「キツネ」を探しながら、災害時の避難所に指定されている広田小学校を目指しました。途中、地域の独特な屋号の呼び名(例えば、牛石べごいしなど)をデザインしたメンコを拾いながら、昔遊びをしたり、災害時利用可能な井戸を探して水運びゲームを行ったりすることで、楽しみながら避難経路を歩きました。「キツネ」面の眼球にウエアラブルカメラを装着し、タブレット端末に配信された目線映像を頼りに「キツネ」を探すという映像機器を駆使したプログラムで、子ども安全まちづくりパートナーズが科学警察研究所の原田豊氏と協働して社会実装を進めている「聞き書きマップ」も駆使して記録をとりました。
避難路を歩く参加者
仮設住宅を逃げるキツネ
「避難経路の安全マップを作成する創作型プログラム」
安全マップ作成プログラムは、避難路を散策する体験型プログラムと同時刻、広田小学校仮設住宅集会所にて約20人で行われました。体験型プログラムで散策しているルート上で、日頃気になっている箇所や不安箇所をチェックし「逃げ地図」にデザインされたシールを貼り、安全マップを作成しました。それらの状況を受け「安全活用シート」を使い、具体的な改善案が話し合われました。安全マップ及びシールは水をテーマにデザインされており、確認作業用途だけはなく、使用後もアート作品として鑑賞できる仕様になっています。
「逃げ地図」の説明をする山本俊哉代表理事
作成された「安全マップ」
「安全活用シート」
成果と課題
終了後のアンケートの結果、参加者のほとんどが今回の防災アートプログラムは子どもの安全や地域の理解などに役立つと答えました。体験型プログラムは「理解しやすく、楽しめる、親しみやすい」「アートを用いることで興味をひき防災へとつなげることは良い」など楽しいながら学べた点が良かったという声が多く寄せられました。安全マップ作成の創作型プログラムも、「様々なアート的仕掛け、シールの工夫などが見られ、非常に画期的で良かった」や「絵として飾っておきたい」という肯定的な評価が多く、アーティスティックに仕上げた実験的なプログラムの先駆的な実践例になりました。
一方、今回のプログラムに限らず被災地における地元住民、特に子どもの参加が少なく、アーティスティックな安全マップは「おしゃれだけど字が小さいので万人受けではない」など、機能とアートのバランスが課題として指摘されました。これらは今後の検討課題として認識し、PDCAサイクルを回していく考えです。
スタッフ、参加者記念撮影
参加大学生とキツネ
「キツネをさがせin陸前高田」の実施報告書
※下記リンクをご参照ください。
http://www.mukoujima.com/miya/wp-content/uploads/2015/09/rikutaka_tsumamare_report.pdf