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ミニシンポジウム「子ども参画による安全な子どもにやさしいまちづくり」

・講演概要詳細はこちら   インドのNPO「Action for Children’s Environments (ACS)」を設立し、ユニセフ「子どもにやさしいまち」の作業グループに関わり、CFCアジアパシフィックネットワークインド議長も務めた国際的に活躍するスデジュナ チャッタジーさん。彼女から、インドにおけるスラム街の子どもたちの現状と、子ども参画のまちづくりの試みについて、講演をしていただきました。また、彼女の恩師でもあるロビン・ムーア教授からもコメントをいただきました。 DSCN5552

危機とは何か

IMG_0910「危機(Crisis)」とはなにか、という定義について、おそらく辞書にはとても不安定な状態という意味が書かれていると思われます。断固たる変化が差し迫り、そのために好ましくない結果が出てしまう可能性がある状態、私はこれが「危機」だと思います。このような危機が起こったときに何をしなければならないのでしょうか。 危機に瀕した子どもたちが様々な状態におかれています。例えば、人的災害もありますし、地震や津波と言った自然災害もあります。住居のインフラが整っていない劣悪な環境で暮らす子どもたちもいます。 危機をタイプ分けすると、大災害、中程度の災害、小規模(毎日起こるような)事故があります。しかし、大災害だけでなく、中程度の災害であっても毎日起こるような事故であっても、子どもたちに対するリスクは非常に大きなものです。子どもたちの病気、ケガなどが軽視されたり、過小評価されている実態があるからです。 私が関わっているプロジェクトは中程度の危機と毎日起こるような危機に焦点をあてています。アジアは最も都市化が速く進んでいる地域であり、世界の子どもたちの約4分の1がアジア大陸に住んでいます。ベトナム、フィリピン、バングラデシュ、インドネシアといったアジアの国に住んでいる子どもたちは、危機に対して非常に甚大な被害を受けています。

アジアのスラム街

都市化が非常に進んでいます。2008年からは都市に住んでいる人が田舎に住んでいる人を上回る状態が続いています。そして、都市にはスラムが形成されています。スラム街は人的災害や自然災害に対して非常に脆弱です。なぜなら、多くのスラム街は違法に住まいを作っているため、政府を初めとした大きな団体の投資がないことがあげられます。生活のインフラ、例えば上下水道の設備が整っていなかったり、住居も劣悪です。またスラムが形成される土地は、洪水に遭いやすいなど自然災害に対して脆弱です。自然災害に対して脆弱であるが故に本来なら住宅地が形成されない場所にスラムが形成されてしまうのです。このような場所にすんでる子どもたちは多くのリスクにさらされています。特に防災対策がまったくとられていません。災害が起きてから対処療法を行っています。また、スラム街の計画が政府に理解されていないという問題もあります。

2つのプロジェクト

一つ目はアジアの子どもたちの回復力(レジリエンス)のサポートプログラムです。アジアの都市の気候変動に関するレジリエンスネットワークはロックフェラー財団によって支援されています。そして、ACCCRNという団体が、6ヶ月に渡る調査を行いました。この対象地にインドも含まれています。このACCCRNの目的は都会に住む子どもたちにレジリエンスを与えることです。様々な利害関係者が一つの基盤の上で共同参画によってウランをつくることも目的となっています。 二つ目は、危機の影響を受けやすい子どもたちの環境改善、回復力の構築でありこれはユニセフの支援を受けています。脆弱性とは、ショック、ストレス、リスクにさらされている状態だけでなく、無防備な状態をもさしています。この無防備、無関心の状態から上手にダメージを軽減して行く必要があります。もし、しっかりとした資源やインフラがあれば、このようなショックに直面してもそれを吸収することができます。 脆弱性には物理的なものと社会的なものがあります。物理的な脆弱性とは、公衆衛生や子どもの発達に関する物質的な環境の質が問われます。社会的な脆弱性とは、社会経済と政治法律に分けることができます。

スラム街の子どもたち

スラムに住む子どもたちには保護が必要です。非衛生的な水、ゴミの山、プライバシーを守るために閉め切られた窓、換気の悪く狭い室内・・・子どもたちが住む環境をみていただければ、子どもたちがどれだけ自由に動けないか、動きが制限されているかが分かります。また、呼吸器疾患や不衛生状態により様々な伝染病にかかるリスクも高まります。 また、スラムは非常に人口が密集しており、その真ん中に道路が通っています。子どもが外で遊ぼうとしても交通量の多い道路がすぐそこにあります。WHOの統計でも出ていますが、交通事故は10〜14歳の子どもの死亡原因の第2位、15〜24歳の若者の死亡原因の第1位となっています。また、このように非常に密集した劣悪な状態で暮らしていますと、非常に高いストレスがかかります。ストレスが高い状態が続くと保護者はどうしても子どもたちに厳しいしつけをしてしまう傾向があります。家庭内暴力も常態化しています。 ある地域では、子どもたちには幼稚園もありません。一応場所はあるのですが、その中には何もありません。教育のための設備、おもちゃすらない状態です。子どもたちは四六時中外で遊んでいます。身の回りにあるものでおもちゃを作って遊んでいます。しかし危険な場所もたくさんあります。これは、子どもたちの遊びをデザインする大人にとって非常に難しい問題です。子どもたちに安全に遊ばせてあげられる環境をどう作って行くかということです。 また、ある地域では、子どもたちが様々なところで暴力に直面しています。虐待を受けた子どもたちはPTSDと言われる心理的障害を負ってしまうことが問題になっています。 気候変動も子どもたちに影響を与えています。特にアジアでは年間平均1〜2度平均気温が上がっており、熱波が起こると、ヒートアイランド現象、大気汚染、水不足、水質の低下、エアコンの使い過ぎによる停電などの悪影響があります。そして、子どもたちには様々な健康被害がみられます。例えば熱中症やぜんそく、アレルギー、気管支炎、腎機能障害、脱水症状などです。集中豪雨も各地でみられますが、これは予測ができません。洪水がきたら子どもたちは溺れてしまい、汚水に触れる度に病気になるリスクが高まります。

レジリエンスを高めるために

今、どのようにしてレジリエンスを高めて行くかが注目されています。そして、子どもたちを必ず考慮に入れることが重要です。子どもたちも社会の関係者であるので、コミュニティレベルで子どもたちにどのような需要があり反応があるか、子どもたちに社会とのアクセスを持たせる都市のシステムが必要です。また、人々が話し合うスペースを作ったり、子どもを巻き込むような制度を整える必要があります。 まずは住居と健康を整えることが重要です。人間で快適な住居であると同時に、気候変動にも対処できる住居が必要であると言われています。ベトナムのダナンでは、大学とアイセットという団体が協力し、理想的な住宅とはどのようなものかを考え、回復力を持つ安全な家のモデルケースを作っています。極端な自然災害や人的災害に合ったときの対処を考え、直接的・間接的、長期的にリスクを低減し利益を上げていくことについても研究をしました。 今、災害が起きたときには仮設住宅が造られてますが、これをいかに人間的な空間にするかということを考えると、できる竹人々が交流できるようにすることが子どもにとっても良い影響を与えると考えられます。また、災害が起きると学校などのインフラも失われます。それについて意思決定するときには、まず、子どもたちに対して暫定的な仮説の学校を作ることが重要です。そして、これは日本でも起こっていることですが、災害後に家を建て直すときには、必ず子どもたちの意見も入れることが重要です。 先ほど述べたユニセフが支援するセーフコミュニティのプロジェクトでは、子どもたちを守る、回復力のあるコミュニティを作るということで、ムンバイとオパールの2都市がモデル地区に選ばれています。これは子どもたちを守ると同時に子どもたちが参加できるプロジェクトであり、また、子どもたちに能力を持たせ集団行動を起こさせるプログラムです。子どもたちが安全にコミュニティで生活して行くためには様々な要素がありますが、子どもたちのためを第一に考えることが必要です。

参加型のマップづくり

上記のプロジェクトを進める中で、都市部のある区で参加型のマップづくりを行いました。リスクを考え、物理的社会的に安全なコミュニティを作って行きます。また、このプログラムを作成するにあたって、制度的な問題にも言及しています。法律を整えたり、政府の政策もきちんと取り入れることも考えられています。 都市に住む子どもたちを守るために、様々な団体・NGOが協力し安全のための指標を作りました。それには、家庭、コミュニティ、近隣、スラム、区、都市といったレベルがあります。この指標を利用しどのような研究を誰が進めるか、どのようなツールを作るのかなど多くの話し合いがもたれました。参加型の安全なコミュニティをつくることは、子どもたちに能力と資格を持たせることが目的です。年代別にスラムの子どもたちが参加し、子どもたち自身が調査し行動し、またそれに対して応答を行うという二つの側面を持っています。また、今までとは違った視点でコミュニティをみて、コミュニティベースで安全な社会を作ることも目的の一つです。今まであまり人々に意識されていませんでしたが、子どもたちにとって物理的な環境がいかに重要かということを定義し、主張して行く必要があります。 マディヤ・プラデーシュ州のポパールという都市にあるスラム街では、私にとって衝撃的な事実がありました。ドクター・アンベードルカルというインドの憲法を作った人の彫像の下に女の子がいます。国連憲章では子どもの権利が主張されていますが、インドの憲法ではさらに強力に子どもの権利を主張しています。それにも関わらず、この女の子はgか功へ行くことができません。家事や弟の世話をしなければならないからです。これがインドで最も脆弱と言われるスラム街の現状です。こうした状況を物理的、政治的、社会的に理解することが必要です。インドでは約4000万人の子どもがスラムの環境で暮らしています。子どもたちを安全に守って行くことが必要なのです。

ロビン・ムーア教授のコメント

DSCN5575私たちは、様々な問題に直面しています。そのうちの一つが気候変動です。私はスデシュナさんの話を聞いて、より一般的に子どもたちがどのような環境にさらされているかを考えていました。これには2つのレベルがあると思います。一つ目はプロフェッショナルな教育です。大学も専門教育機関です。またもう一方では、子どもという視点でひとつのモジュールを考える必要があります。皆さんがそれぞれの職業、立場からグローバルに、かつ長期的な視野で子どもたちのことを考え、行動することが必要です。専門的な知識、職業を持つ人は社会に与える影響が大きく、そのような人々が協力してプロジェクトを作り上げて行くことが必要です。常に子どもたちに注意を払っていくこと、恵まれない子どもたちが大人になったときによい状況になっているためにパワーを与えなければならないと考えています。さらに、様々な関係の中にはトップとボトムという関係があります。これらの人たちが直接的、間接的に関わり、コミュニティを作り上げていくことで変化が可能になって行きます。環境に対する理解を深めて行くためにトップとボトムの人々が協力していくことが必要ですしそのことによって将来の環境に変化を与えることができると思います。また、日常的な環境も重要です。より予防的な対策をとることが必要です。

 

パートナーズ理事 三矢勝司所感

①ベトナムやフィリピンのスラム街では、子どもの安全(物理的、社会的)が十分に確保できていません。近年は特に、気候変動の影響を受けて環境悪化が進んでおり、これが洪水などの災害時に病気が蔓延する大きな要因となっていることを知ることができました(予防的災害対策の重要性)。

②子ども達が集中的に住んでいる地区が、スラム街のエリアと合致し、そこが災害上脆弱なエリアとも合致しています。これが都市整備によってさらに悪化が促進されつつあります。社会的に弱い立場の人々の生活という視点から都市の災害対策を考えることの重要性を学ぶことができました。

③多様な立場(トップ、住民リーダー、教員、子どもなど)と専門性(工学、経済、法律、政治など)の主体が相互理解をもち、問題解決を進める上で重要なアプローチが「参加」であることを確認しました。問題解決のプロセスに住民、子どもが参加することによって、まちづくりの主体形成が進むことでしょう。

ウィンの希望のものがたり

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