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陸前高田市内の仮設住宅団地での遊びについて 調査報告

2013年8月3日〜7日の期間に、岩手県陸前高田市に建設された応急仮設住宅団地での暮らしに関する状況や、今後の暮らしに関する意向について、自治会長を対象としたヒアリング調査、居住者を対象としたアンケート調査を行なった。(アンケート配布:8月3日〜7日、アンケート回収:8月23日〜26日)その調査項目の一つとして設けられた、子ども(小学生以下)の遊び場とその様子について、アンケート調査・ヒアリング調査についてまとめる。
また、この調査は、陸前高田市地域再生支援研究プロジェクトチームに参加している大学(岩手大学、中央大学、東北大学、法政大学、明治大学)教授とその学生、専門家らが連携して行なった。

アンケート調査概要

アンケート調査は、陸前高田市内に建設された応急仮設住宅団地53団地のうち、グループホーム型を除く51団地を対象とし、51団地全てで実施することが出来た。アンケートは各住戸に1枚ずつ配り、配布数2,020、回収数899、回収率44.5%となった。
そのうち、子どもに関する項目として以下の設問5つと、自由回答の欄を設けた。

問.仮設住宅にくらす子ども(小学生や未就学児)の遊び(場)について最もあてはまる内容に○をつけてください。

  1. 団地内に子どもの遊び場がある
  2. 団地内の駐車場で遊んでいる
  3. 団地内の通路で遊んでいる
  4. 集会所等の周辺で遊んでいる
  5. 団地内では思い切って遊べない

選択肢)そう思う、ややそう思う、どちらともいえない、あまりそう思わない、そう思わない

アンケート結果

「団地内では思い切って遊べない」については、約8割がそう思う・ややそう思うと回答しており、「団地内に子どもの遊び場がある」に対しては、約8割があまりそう思わない・そう思わないと回答している。応急仮設住宅での生活では子どもの遊び環境が良くないということが伺える。
団地内のどこで遊んでいるかについての質問にあたる、「団地内の駐車場で遊んでいる」「団地内の通路で遊んでいる」「集会所等の周辺で遊んでいる」については、いずれもそう思う・ややそう思うの割合が5割をこえている。最も割合が高かったのは、「団地内の通路で遊んでいる」の74%で、団地内の通路で遊びが最も見られている。続いて「団地内の駐車場で遊んでいる」が56%、「集会所等の周辺で遊んでいる」は54%となっている。

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自由回答

自由回答については67名が記入しており、最も多かったのは【遊び場】に関する記述で25件あった。「当仮設では子供たちは見るが、存分に遊ぶ場所がない。」「思い切って遊べるスペースがほしい。」といった遊ぶ場所が無い、遊ぶ場所が欲しいといった記述が多く見られた。また、「遊ぶ場所がないので家の中にだけいる。」「特に遊び場がないのであまり外で子供を見かける事がない。」のように、外遊びに適した場所がないために、子どもの過ごし方に影響が出ていることが伺える記述もあった。
同様に【安全】に関する記述も多く見られ17件あった。特に、「仮設内の車の移動が頻繁なので安全とはいえない。」「車がないようなところでないと、安心して遊ばせることができません。」といった車に関わる記述が多く見られた。また、「仮設住宅内の広場は駐車場だけなので、ボール投げやサッカーでのボール蹴りができる唯一の広場であるが、車の出入りの際は十分気をつけなければならぬ不便さがある。」「駐車場で遊んでいるため、車にあたっている。」といった車を所有する側からの困ることとしての記述も見られた。
子どもの遊びによる【音】に関しての記述もあり、「仮設の近くで遊ぶとうるさいといわれる。」「子供が騒いでも、迷惑にならないような遊び場があれば…。周囲の人は「気にしないで」と言ってくれるが、親の立場からすればやはり気になって仕方がない。」「通路で遊ぶため、壁にボール等ぶつかったときはかなり室内に響き、かなりストレスを感じる。」等、住民や保護者のストレスの原因になっているという記述があり、「通路や駐車場で遊んでいますが、雨が降ると、1,2日くらいはいいのですが何日も続くとストレスがたまり、ケンカしたりします。」「雨の日だと狭い仮設の中でゲームで遊んだりするので正直イライラする。親もそうだが、子ども達は思いっきり遊べてないようなので、子供なりにストレスを感じているのでは?」といった子どものストレスについての記述もあった。

ヒアリング調査概要

団地自治会長へのヒアリングの様子2

ヒアリング調査は、陸前高田市内に建設された応急仮設住宅団地53団地のうち、グループホーム型を除く51団地を対象とし、そのうち42団地で実施することが出来た。事前に応急仮設住宅団地の配置図を用意し、ヒアリング調査の際に子どもがどこで遊んでいるか、どのような遊びをしているかなどを、駐車場・団地内通路・集会所周辺・その他の遊び場に着目しながら書き込んだ。

駐車場

団地前の工場の駐車場で遊ぶ子どもたち

17団地で遊びが確認され、小学生の人数が5名前後の団地では、駐車場での遊びは走り回る他に、野球やキャッチボールといった球技に関わる遊びが行われている。小学生の人数が10名をこえる団地では、走り回る、自転車で遊ぶのが主となっており、サッカーやキャッチボールといった遊びはモビリアの1団地のみで行われている。モビリアで球技に関わる遊びが行われているのは、駐車場がアスファルトで舗装されていることが関係していると考えられる。
駐車場は砂利で舗装されている団地がほとんどであり、砂利による転倒でケガが起きた団地がある。また、自動車と子どもの接触を危険視している団地があり、実際に自転車と車が接触をおこした団地もある。子どもの遊びが周囲に被害をもたらすものもあり、自転車が止まっている車にぶつかって傷を付けたり、野球をしていて、打球が窓ガラスを割る、車に当たるといったものがある。

団地内通路

小学生の人数が1人でも遊びが確認される場所となっており、22団地で確認された。走り回る、自転車といった遊びの他に、キャッチボール、サッカー、バレーボールといった球技に関わる遊びも行われているが、小学生が10名を超える団地では、球技に関わる遊びは確認されていない。
団地内通路での自転車走行に対して、3団地で事故やケガ、子どもが走り回ることに対して1団地でケガが起きそうとの意見があった。

集会所周辺

小学生が2名以上の団地で遊びが確認され、12団地で確認されている。本調査で見られる集会所の設置の方法には、大きく2つのパターンがあり、一つは、集会所が独立して建設されているものであり、もう一つは、仮設住宅のうちの一つの住戸を集会所として利用するというものである。遊びが確認されているのは独立した集会所がある団地がほとんどである。仮設住宅を集会所として利用している団地でも、遊びは見られているが、ボランティアが来たときに寄ってきて遊ぶというものである。
集会所周辺の遊びで危険視されているものは見られなかった。

その他遊び場

18団地で遊びが確認された。その他の遊び場を分類すると大きく、団地内、団地の隣、学校施設、周辺施設となる。
団地内に分類されるものは、親や大人がいるからということで、自宅前やテーブルのあるところで遊びが行われている。
団地の隣に分類されるものは、団地前の道路や戸建の空き地といった、団地内通路や駐車場の代用と考えられる場所が使われており、団地前の道路で遊びが見られる団地では、団地内通路での遊びが行われていない。
学校施設に分類されるものは、校庭、学校と団地の間のスペース、遊具が使われ、走り回る、自転車、球技に関わる遊び、遊具遊びが行われている。これらの団地では、駐車場で球技に関わる遊びは行われていない。
周辺施設に分類されるものは、道路を渡る必要のあるものであるが、1つを除いて徒歩で行ける範囲のものとなっている。
その他の遊び場では、団地隣の斜面を利用した自転車の滑走と、遊具での遊びによるケガが危険視されている。

まとめ

応急仮設住宅での生活は子どもの遊びという面において、子どもの遊び場がないことや、思い切り遊べる環境にないという考えが大多数を占め、子どもの遊び環境が良くないことがみてとれた。そのため、子ども達は団地内の通路や駐車場といった場所を使って遊びを行なっているが、団地によっては通路や駐車場で遊ぶ際に子どもが危険な目にあうなど、安全な場所で遊べているとはいえない状況にあることが分かった。
また、子どもは思い切り遊べないことにストレスを感じ、親は狭い部屋で子どもが遊んでいることや近隣への配慮にストレスを感じ、居住者は子どもの遊びにともなう音にストレスを感じている。子どもが思い切り遊べる場所がないことが、子どもだけでなく、親や子どものいない居住者にまで影響を及ぼしていることが調査を通して浮かび上がった。

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